裏庭とは?
それはある祭りの日の出来事。
街の氏子たちに担がれた小さな神輿は稲荷神社の境内に入って行きました。
石畳の参道に沿って鳥居をくぐり、そのまま真っ直ぐ本殿へ向かう、はずでしたが、何故かその日は少しずつ道の脇へと外れていってしまったのです。
神輿はそのまま止まる事なく、とうとう氏子の1人がその先にあった石の狐像との間に挟まれてしまいました。
硬い石像と神輿の担ぎ棒に体が押し潰されそうになり、痛みのあまり叫び声を上げると、突然、像の台座が動いて狐像は地面に落ちました。
落ちたはずみに狐像の長い鼻は欠けて取れ、同時に、白くて丸い動物が飛び出てきました。
その動物は、鼻の長くない白いお狐さまでした。
その場にいた一同は、自分たちの引き起こした災いに恐れ慄くとともに、このお狐さまがまた元の姿に戻れるまで、神社の社務所へ療養で住まわすことにしたのです。
社務所に住み込む事になったお狐さまは、怒るわけでもなく悲しむわけでもなく、ただただ毎日を過ごしています。
ときどき、持ち込まれた家電を使って快適に過ごしたり、夜に開かれる動物たちのカフェに顔を出したり、温かい時期には咲いている花を摘んで見せたり、貰った食べ物を美味しく食べたりと、それなり楽しく過ごしているようです。
のんびりするだけでなく、決まった時間になると黙々と勉強にも励みます。商売の神様の使いとして人々の願い事を叶えるために頑張っているようです。(今は療養中で使いには行けませんが。)
しかしながら決してただのポジティブ元気なお狐さまなのではありません。夜明け前は自分の存在が何であるかに想いを馳せて、ただただ空を見つめます。
月が満ち欠けするように、常時満月のように満たされることは稀であり、お狐さまも例外ではなかったのです。
アプリの裏庭にはいつもお狐さまがいます。そこでは鈴やお守りを受け取ることができ、またそれをお狐さまにあげることができます。
あなたが困ったときに、弱ったときに、苦しいときに、
お狐さまの存在が、それを許し、少しだけ前へ進むきっかけとなりますように。